見直しの住居学8:お風呂と坪庭

お風呂と坪庭

これぞ日本の究極の贅沢坪庭付きの家庭風呂で優雅なひとときを

わたしたちにとって、お風呂とは体をきれいに洗うというよりも、1日の仕事の疲れやストレスを解消し、リラックスする場になっているというのが本当のところのようです。だからお風呂はリラックスできることを第一に考えて計画するとよいと思っています。それにはある程度の広さが必要です。最低でも1坪、とれるなら1.25坪~1.5坪くらいは欲しい。

畳1枚分の坪庭に面しておおきな開口部をとっています。床のスノコは落とし込みにしています。上部の壁と天井は板張り、坪庭も同じようにして広がり感を演出しています。坪庭には屋根がありませんので、雨や雪を見ながら露天風呂のようにバスタイムを楽しめます。

広くなると寒いのではという心配は無用です。今は浴室にも簡単に暖房機がつけられます。暖房換気乾燥機というものを天井にセットすれば寒いときの暖房に使えるだけでなく浴室を雨の日の洗濯物の乾燥室にすることもできます。湿気でカビが生えやすい浴室も、乾燥させることで、カビの発生を押さえることもできます。タイルだと足が冷たいが、浴室の床用のコルクタイルというものもメーカーからは発売されています。またタイルでも、温感タイルといって温かく感じるタイルなんて製品も5年前くらいから市販されているので、そういった素材をじょうずに活用して居心地のよいお風呂を計画するといいと思います。お年寄りのためには出入り口を3枚引き戸にして脱衣室から段差なく洗い場に入れるようするのもいいです。

お風呂に坪庭を計画するという究極のストレス解消のお風呂もあります。私の設計では条件さえあえば、ほとんどの住まいのお風呂に畳1畳ほどの小さな坪庭を計画しています。ここには日陰に強い黒竹や笹などを植えます。この坪庭には目隠しのためのコの字形の壁はあるが屋根はないので、雨や雪が落ちてきます。坪庭に面する壁は、大きな透明の安全ガラスにして、ガラス戸をつけて、坪庭に出られるようにすることもあります。こうすると、露天風呂のような感じでバスタイムを楽しむことができます。坪庭の黒竹の葉にちらちら落ちてくる雪をみながら、お風呂に入れるなんて最高のストレス解消、家のお風呂が温泉になったようなものです。

中庭のデッキテラスに面していて、湯上がりにはテラスに出ることもできる。
大きな窓で明るく開放的なお風呂です。

坪庭を計画するとよいことがもう一つある。それは坪庭に面して大きな窓がとれるので、換気がしやすいということです。だからカビが生えにくいので壁や天井を板張りにすることもできます。腰から下は水がかかるのでタイル張りにして、そこから上の壁と天井は板張りにするケースが私の設計ではたくさんあります。木の匂いがプ~ンとするお風呂となると、もう完全な温泉旅館の露天風呂感覚です。多少の日頃の疲れやストレスは簡単に吹っ飛んでくれるに違いありません。

浴室に坪庭を取り入れた施工事例をご紹介

湯上がりにはテラスに

露天風呂感覚を楽しめる、大きな坪庭のある浴室。遠赤外線暖房換気乾燥機を壁面に設置。

坪庭へ出られる
小さな坪庭


【写真左】坪庭へ出られる扉のある浴室。木の香りに包まれた安らぎと癒しの空間です
【写真右】奥行き60cmの小さな坪庭のある浴室。坪庭をみながらお風呂に入ることができます

坪庭のある浴室1
坪庭のある浴室1の見取り図


坪庭に面して大きなガラス戸をつけた浴室。

坪庭のある浴室2
坪庭のある浴室2の見取り図


換気のため上下に窓をつけた坪庭のある浴室。坪庭の緑を楽しむために下のガラスは透明にする

坪庭のある浴室3
坪庭のある浴室3の見取り図


坪庭に面して大きなガラス戸をつけた浴室。坪庭の上の格子は防犯用

お風呂と坪庭

坪庭のある浴室
坪庭のある浴室


坪庭のある浴室
坪庭のある浴室