見直しの住居学(その2)
■中庭・坪庭のすすめ
練馬区の武田HOUSEの中庭。お引き渡し当日は東京には珍しい大雪だった。
おかげで雪の中庭の風情を楽しみながらの引き渡しとなったが、
帰りは電車が止まったり、足元が滑ったりで大変でした。
私たちの住む日本は、自然環境にとても恵まれているといえます。春夏秋冬という季節にも恵まれています。「暑さ、寒さも彼岸まで」という言葉のとおり、他の地球上の国々と比較したら、それはそれは暮らしやすい環境であると思います。暑くもあり、寒くもあり、雨もあれば雪もあり、霧も氷も・・・地球上の自然現象のほぼ全てが暮らしの身近に、ちょうどよい状態で存在していることになります。
こんなに自然現象に恵まれているのだから、もっと自然を暮らしのなかに取り込めば、毎日の暮らしを楽しく快適にできるのではないでしょうか。
私が設計のテーマにしている「呼吸する住まい」とは自然素材を使うことにより、住まいそのものが自然の状態で呼吸するということだけでなく、光や風、雨や雪といった自然現象が、毎日の暮らしに身近に感じられる住まいを意味しています。
その仕掛けとしてよく取り入れるのが中庭や坪庭、デッキテラスです。例えば、家族みんなが集まるリビングルームに接するように中庭を設け、木のデッキを張ります。中央にヒメシャラやヤマボウシなどの落葉樹を1本。春、日差しがだんだん暖かくなると、木の芽が膨らんできます。夏には木陰に椅子を出して好きな本を読んだり、秋にはススキと団子で月見もできます。冬は枯れ枝に雪が積もり、ちらちら舞う雪をみながら雪見酒もいいだでしょう。
中庭にデッキを張って、床の高さを部屋とほぼ同じにすれば、外のリビングルームの感覚でアウトドアが楽しめます。近所の視線を気にすることもないので、中庭に面する窓にはカーテンもいりません。大きなガラスで住まいの中に光と風をいっぱい取り込むこともできます。
小さな面積の住まいでも中庭を計画することは可能です。最近では16坪の住まいの真ん中に6畳分の中庭を計画したこともあります。この6畳分の中庭のお陰で、この小さな住まいには光と風が溢れ、ヤマボウシの葉こぼれの光を楽しみながら1日中家にいても飽きることがありません。中庭を計画することで、季節の移り変わり、雨や雪、日の光、風の流れをいつも身近に感じながら暮らすことができます。お酒好きのお父さんには何よりの酒の肴のはずです。いつもは自分の部屋でテレビや音楽に夢中の子供たちもリビングに出てきて、お父さんと一緒に雪景色を眺めるかも知れません。
雨や雪が落ちてくる屋根なしの一見無駄なスペースの中庭ですが考えようによっては家族の心を温めてくれるかけがえのない空間になるような気がしています。
新堀HOUSE(埼玉県日高市)の中庭
平屋の住まいの真ん中に8畳大のデッキを張った中庭があります。
ひめしゃらを植えて季節の移り変わりを暮らしの身近かで楽しむことができます。
“見直しの住居学(その2)” への2件のフィードバック
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最近のコメント
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(kokyuBloguserより[12/12])
木下さん、コメントをありがとうございます。木下さんのお住まいも同じように工夫が満載のお住まいになっていて渡辺篤史さんの建物探訪の放映のときにとても評判がよかったです。
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(木下尚久より[12/11])
「建もの探訪」拝見しました。先生の分かりやすい説明で、住みやすい工夫が色々されていることにあらためて感銘を受けました。見学会にお伺いした時のことを懐かしく思い出しました。
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(kokyuBloguserより[10/31])
S.Oさん、近況のコメントをありがとうございます。散歩のときなどときどき前の道を通るようにしています。2階のリビングや畳コーナーで読書をされている姿が目に浮かびます。外壁の色がとてもいい色なので、同じ色の吹き付けを選んだ建築主さんも多いです。
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(S.Oより[10/31])
ご無沙汰しております。我が家が目に入り、驚きました。築13年になりますが、土台がしっかりしているので、先日の地震でも何一つ倒れることもありませんでした。建具も狂うことなく、スムーズです。いつまでも心地よい家で読書するのが、いちばんの楽しみです。図書館から借りて、上橋菜穂子さんの本を再、再読しています。
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(J-WAVEからスマートスピーカー「Google Home Mini」いただきました | 木の家・自然素材の住宅設計なら東京都の光設計より[06/10])
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(kokyuBloguserより[03/24])
金子さん、コメントありがとうございます。お久しぶりです。J-WAVE聴いてもらえてよかったです。生放送でしたので緊張しながらお話ししました。お元気でお過ごしください。
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(金子敏恵より[03/24])
ご無沙汰致しております。早稲田の専門のマッハです。(毎年お年賀状ありがとうございます)
今朝、目白まで通勤の為の戸田公園駅までのたつた15分から20分ですがJ-WAVEからミニ避難所住宅…の興味深いおはなしが…
なんと‼️くりはらさーん‼️
Twitterで直ぐに画像で確認!感動致しました。懐かしいお姿拝見致しました!偶然の出来事ですがどうしてもご挨拶させていただきたくて書き込みお許しくださいませ
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随分前に見せて頂いた住宅ですね。
グリーンも育ち、家とのプロポーションが良いバランスになってきたのではないですか?
建物の素材も、馴染んできて、しっとりとした落ち着きが出てきたものと思われます。
本物の材料を使って構成すると、工業製品にない「時間の経過を楽しむ」事ができて良いですね。
是非その後の新堀HOUSEを、ブログで紹介してください。
もう完成して10年になります。人間と同じでいい感じに年を重ねて味がでてくれています。家族も増えて、横に子供の勉強部屋を増築する話も出ています。本物の材料を使うと住まい手にも愛着が湧いて、住まいを大切にしてくれますので、家族構成の変化に合わせて更新しながら長持ちする住まいになるように思っています。